WordPressとMAツール(メール配信システム)を連携する方法
問い合わせや資料請求をしてくれた見込み客に、その後どうアプローチしているか——ここが整理されていないまま、せっかくのホームページの反響を取りこぼしている会社は少なくありません。WordPressとMAツールの連携について、実務目線で解説します。
MAツールとは何か、なぜWordPressと連携させるのか
MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、見込み客の情報を管理し、メール配信やフォローアップを自動化するためのツールの総称です。「資料請求をしてくれた人に、数日後リマインドメールを自動で送る」「セミナーに申し込んだ人だけに事前案内メールを配信する」「メルマガの開封状況に応じて次のアプローチを変える」といったことを、手作業ではなく仕組みとして実現するために使われます。
WordPressで作られたホームページは、多くの場合、問い合わせフォームや資料請求フォームを通じて見込み客の情報を獲得する「入口」の役割を担っています。しかし、そこで得た情報がWordPress内に留まったままだと、その後のフォローアップは担当者の手作業に頼らざるを得ません。WordPressとMAツールを連携させることで、フォームから入力された情報がそのままMAツール側に取り込まれ、その後のメール配信やフォロー施策を自動化できるようになります。これが、この連携が求められる最大の理由です。
実際にご相談をいただく背景には、「せっかく広告費をかけて集客しているのに、獲得した見込み客への追客が手薄になっている」という課題感があるケースが多くあります。展示会やWeb広告経由で資料請求は多く集まっているのに、その後のフォローは担当者の記憶と手作業のメール送信に頼っていて、忙しい時期には対応が漏れてしまう——こうした状況を仕組みで解決したい、というのがMAツール連携の本質的なニーズだと感じています。
代表的なMAツール・連携プラグイン
WordPressと連携できるMAツール・メール配信システムにはいくつか代表的なものがあります。それぞれ特徴が異なるため、自社の規模や目的に合わせて選ぶ必要があります。
WordPress内だけで完結させたいのであればFluentCRM、すでに他のMAツール・CRMを導入済みでそれとWordPressをつなぎたいのであればWP Fusion、シンプルにメルマガ配信からまず始めたいのであればMailchimp for WordPressというように、目的によって選ぶべきものが変わってきます。
それぞれの立ち位置をもう少し補足すると、FluentCRMは外部サービスへの月額利用料が発生しにくく、WordPress管理画面の中でメール配信からCRM機能まで完結できるのが魅力です。ただし、あくまでWordPress上で動く仕組みのため、非常に大量の配信を行う場合はサーバー側の負荷にも注意が必要です。WP Fusionは、すでに社内でSalesforceやHubSpotといった外部のCRM・MAツールを使っている場合に、WordPress側の会員情報や行動データをそちらと同期させる「橋渡し役」として使われることが多く、既存の営業体制を変えずにWebサイトの情報を取り込みたい会社に向いています。Mailchimp for WordPressは、メール配信そのものに主眼を置いたシンプルな構成を求める場合に適しており、まずはメルマガの自動化から始めたいという段階の会社に向いているといえます。
導入の大まかな流れ
目的とゴールの整理
「見込み客のフォローを自動化したい」のか「顧客ごとに配信内容を出し分けたい」のかなど、何を実現したいのかを明確にします。
MAツール・連携プラグインの選定
予算感、すでに使っているツールの有無、必要な機能の複雑さをもとに、FluentCRM・WP Fusion・Mailchimp for WordPressなどから選びます。
フォームとの連携設定
既存の問い合わせフォームや資料請求フォームの入力内容が、選定したツール側に正しく反映されるよう設定します。
配信シナリオ・セグメントの設計
誰に、どのタイミングで、どんな内容のメールを送るかというシナリオを設計します。ここが実は最も時間のかかる工程です。
テスト配信・運用開始
実際にテスト用のデータでシナリオ通りにメールが配信されるかを確認したうえで、本番運用を開始します。
連携すれば自動的に成果が出るわけではない
ここは正直にお伝えしたいところですが、WordPressとMAツールを連携させたからといって、それだけで問い合わせが増えたり売上が伸びたりするわけではありません。連携はあくまで「情報を自動で受け渡す仕組み」を作るものであり、成果を左右するのは、その先でどんなメールをどんなタイミングで送るかという「シナリオ設計」の中身です。
実務でよくあるのが、連携の設定自体は完了したものの、その後のメール配信シナリオを作り込む時間が取れず、結局は単発のメルマガを不定期に送るだけの運用になってしまうケースです。MAツール本来の強みは、見込み客の行動(資料請求した、特定のページを見た、メールを開封したなど)に応じて自動でアプローチを変えられる点にありますが、そのシナリオ設計には、自社の商品・サービスやお客様の検討プロセスへの理解が欠かせません。ツールを導入すること自体がゴールではなく、その先の運用体制まで含めて検討することをおすすめしています。
また、メール配信を行う以上、特定電子メール法など関連する法律への配慮も必要です。配信停止(オプトアウト)の導線を必ず用意すること、本人の同意なく必要以上に営業メールを送らないことなど、基本的なルールを踏まえた運用設計が求められます。
もうひとつ実務で感じるのは、MAツールを導入した後に「せっかく取得したデータをどう見ればいいかわからない」という声をいただくケースです。開封率やクリック率、どのページを見た人がどのタイミングで問い合わせに至ったかといったデータは、多くのMAツールで確認できますが、そのデータをもとに次の施策を改善していくには、ある程度の運用ノウハウが必要になります。導入して終わりではなく、数字を見ながら配信内容やタイミングを継続的に見直していく体制まで含めて検討することが、成果につながる近道です。
どんな業種で活用されているか
MAツール連携は、BtoB企業の資料請求フォローや、住宅・不動産のように検討期間が長い商材と特に相性が良いとされています。例えば注文住宅を扱う会社では、資料請求してすぐには契約に至らないお客様に対し、数週間おきに施工事例やお客様の声を届けることで、検討が進んだタイミングで自然に思い出してもらえるよう工夫している例があります。BtoB向けのサービスを提供する会社でも、資料ダウンロードをきっかけに段階的に情報を提供し、営業担当者へのアポイントにつなげる、という使い方が定番です。
一方で、来店・来院までの検討期間が短い業種(飲食店や美容室など)では、MAツールほど高度な仕組みは不要で、シンプルなメルマガ配信やLINE公式アカウントとの組み合わせのほうが実情に合っていることもあります。自社の商材の検討期間や、見込み客との接点の作り方によって、必要な仕組みのレベルは変わってくるという点は押さえておきたいポイントです。
教育・スクール業界でも、体験授業や説明会に参加した方への継続的なフォローにMAツールが使われる例が増えています。入会に至らなかった方に対しても、時期をあけて別の切り口の案内を送ることで、検討が再燃したタイミングを逃さずアプローチできるようになった、という声もいただきます。このように、MAツールは「一度で決まらない検討」を長期的にフォローするための仕組みとして、業種を問わず応用が利く点が特徴です。
導入する際の注意点
- 連携設定だけでなく、その後のメール配信シナリオ設計まで含めて検討しないと、期待した成果につながりにくくなります。
- 配信停止の導線の用意など、特定電子メール法をはじめとする関連法令への配慮を運用フローに組み込んでおく必要があります。
- 既存の顧客管理(Excel台帳や別のCRMなど)との二重管理にならないよう、情報の一元化の方針を事前に決めておくと安心です。
- 配信データ(開封率・クリック率など)を継続的に確認し、施策を改善していく運用体制も併せて検討しておくと、成果につながりやすくなります。
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