旅館・ホテルがオンライン予約サイトを自社で持つメリット

宿泊業のホームページ活用術

旅館・ホテルがオンライン予約サイトを自社で持つメリット

「うちはOTAだけで十分」と思っていませんか。旅館・ホテルが自社のホームページにオンライン予約機能を持つことで得られるメリットと、導入時に検討すべきポイントを、実際のご相談内容を交えて解説します。

OTAだけに頼る予約体制のリスク

温泉旅館を経営されているある方から、「OTA経由の予約は順調に増えているが、利益率が年々下がっている気がする」というご相談をいただいたことがあります。詳しくお話を伺うと、複数のOTAに掲載料・手数料を支払っており、繁忙期でも手元に残る利益は思ったより少ない、というのが実情でした。加えて、OTAのランキングアルゴリズムが変わるたびに掲載順位が変動し、集客が安定しないという悩みも抱えていらっしゃいました。表示順位を上げるためにさらに広告費を積む必要があり、「頑張って予約を取っても、取るほど手元に残らない」という状態に近づいていたそうです。

OTAは新規のお客様との接点を作る上で非常に有効なチャネルです。ただし、そこで完結してしまうと、宿泊施設側は「価格」と「写真」以外でお客様に選ばれる余地が少なくなります。掲載ページのフォーマットはOTA側で決められているため、こだわりの部分や独自のサービスをどれだけ伝えたくても、限られた文字数と写真枚数の中でしか表現できません。自社のホームページにオンライン予約機能を持つことで、館内設備や女将のこだわり、地域の魅力といった情報を自分たちの言葉で伝えながら、直接予約という選択肢をお客様に提示できるようになります。

さらに言えば、自社サイトを持つということは、集客の主導権を自分たちの手元に取り戻すということでもあります。OTAの規約変更や手数料改定に振り回されるのではなく、自分たちのペースで価格設定やキャンペーンを打ち出せる基盤があることは、長期的な経営の安定にもつながります。数年前まではOTAに頼らざるを得なかった小規模旅館でも、自社サイトの予約導線さえきちんと整えれば、少しずつ収益構造を自分たちでコントロールできるようになっていきます。

自社予約サイトを持つことで得られること

OTA手数料がかからない直接予約の窓口を作れる
リピーターに向けた優待プランを設定できる
自社の世界観やこだわりを伝えながら予約してもらえる
顧客データを自社で蓄積し次の集客に活かせる
空室状況やキャンペーンをリアルタイムで発信できる
多言語対応でインバウンド直接予約にも対応できる

これらはAmeliaやBookly等の予約プラグインに加え、会員向けの優待価格を設定したり、FluentCRMのようなメール配信ツールと連携してリピーター向けの案内を自動化したりすることで実現していきます。ただし、旅館業特有の「一泊二食付き」「部屋食プラン」など複雑なプラン構成をそのままオンライン予約に反映させる場合は、標準機能の範囲を超えて追加のカスタム開発が必要になることが多く、この点は導入前に見積もりの中でしっかり確認しておくべきポイントです。プラン数が多い旅館ほど、料金表をそのままシステムに落とし込もうとして複雑になりすぎる傾向があるため、まずはオンライン予約用にシンプルなプラン構成を数種類に絞り込むところから設計を始めるのも一つの方法です。

自社予約サイトを育てていくステップ

1

現状のOTA依存度を把握する

予約経路別の売上と手数料を洗い出し、自社サイト経由に切り替えることでどの程度利益率が改善しそうかを試算します。感覚だけで「OTAが多い」と捉えるのではなく、実際の数字に落として社内で共有しておくことが、後の施策の説得力にもつながります。

2

自社サイトの予約導線を整える

単に予約フォームを置くのではなく、写真・館内紹介・お客様の声などと合わせて「ここで予約したい」と思ってもらえるページ構成にします。OTAの掲載ページと差別化できる情報を厚めに用意することがポイントです。

3

予約システムとカレンダー連携を導入する

AmeliaやWP Booking Systemなどを用いて、OTA側のカレンダーと同期しながら空室を一元管理できる体制を作ります。フロント業務が忙しい時間帯でも更新漏れが起きにくい仕組みにしておくと安心です。

4

リピーター施策と連動させる

FluentCRMやWP Fusionなどのツールで、宿泊後のお客様に次回優待の案内を自動配信し、直接予約のリピート率を高めます。手作業での送付から自動化に切り替えるだけでも、継続率が大きく変わることがあります。

5

効果を測定しながら改善する

自社サイト経由の予約数・売上を定期的に確認し、プランや導線を見直していきます。数字を追う担当者を決めておくと、改善のサイクルが途切れにくくなります。

実際にご相談いただいた事例から

静岡県のある温泉旅館では、OTA経由の予約が全体の8割を占めており、繁忙期でも利益が思うように伸びないという課題を抱えていらっしゃいました。ホームページをリニューアルする際に予約プラグインを導入し、自社サイト限定で「連泊割引」と「早期予約割引」を設定したところ、半年ほどでリピーターを中心に自社サイト経由の予約が増え始めたとご報告いただきました。もちろんOTAを完全にやめたわけではなく、新規集客はOTA、リピーターは自社サイトという役割分担を意識して運用されているとのことです。当初は「自社サイトから予約してくれる人なんて本当にいるのか」と半信半疑だったそうですが、館内で直接予約を案内するチラシを客室に置くようにしたところ、口コミで評判の良かったリピーターほど自社サイトからの予約に切り替えてくれたといいます。

この事例では、予約完了後に宿泊者へお礼メールと次回クーポンを自動送信する仕組みもあわせて構築しました。手作業でこれを行うのは負担が大きいため、メール配信の自動化によって、女将さんの負担を増やさずにリピーター施策を継続できる形にしています。導入から1年ほど経過した時点では、自社サイト経由の予約が全体の2割ほどまで伸び、OTA手数料の負担が目に見えて軽くなったという嬉しいご報告もいただいています。

自社予約サイトを検討する際の判断基準

「今すぐOTAをやめて自社サイトに全面移行すべきか」という質問もよくいただきますが、多くの場合そうではありません。旅館業は地域や客層によって事情が大きく異なるため、一律の正解があるわけではなく、施設ごとに最適なバランスを見極める必要があります。新規のお客様との接点としてOTAは引き続き有効であり、自社サイトは「一度泊まってくれたお客様に、次は直接予約してもらう」窓口として育てていくのが現実的なアプローチです。実際、いきなりOTAの掲載を止めてしまい、新規予約が大きく落ち込んでしまったという失敗例も耳にします。自社サイトはあくまで並走させながら育てていくもの、と捉えておくと過度な期待や急ぎすぎた判断を避けられます。

決済方法についても、旅館業では当日現地払いを希望されるお客様もいるため、WooCommerce PaymentsやStripeによるオンライン決済と、当日払いの両方を選べるようにしておくと、幅広い層のお客様に対応しやすくなります。年配のお客様を中心にオンライン決済への抵抗感が根強い施設もあるため、決済手段を一本化せず選択肢を残しておくことが、結果的に予約の取りこぼしを防ぐことにつながります。

スタッフの負担をどう分散させるか

自社予約サイトを育てていく過程で見落とされがちなのが、フロントや女将、番頭といった現場スタッフの負担です。新しい予約システムが増えることで、確認作業が二重・三重になってしまっては本末転倒です。予約通知の確認担当を明確にする、Googleカレンダー同期を活用して手作業でのチェックを最小限にするなど、システム面だけでなく運用ルールの整備もあわせて行うことで、現場に負担をかけずに直接予約を増やしていくことができます。導入時にはシステムの説明会を現場スタッフ向けに一度設けるだけでも、その後の混乱をかなり減らせます。

口コミとインバウンド需要をどう取り込むか

自社サイトを育てていくうえで、口コミやレビューの見せ方も重要な要素です。WP Customer Reviewsのようなレビュー機能付きプラグインを使えば、宿泊者の声をホームページ上に掲載でき、OTAのレビューだけに頼らずとも自社サイト自体で信頼感を作ることができます。特に、OTA側では削除・編集できない生の声を自社サイトで丁寧に紹介できることは、初めて訪れるお客様の不安を減らす効果があります。「自社サイトからの予約は口コミが少ないから不安」という声を持つ運営者は多いですが、レビュー機能を組み合わせることでその不安をある程度解消できます。

また、外国人観光客向けの旅館・ホテルであれば、WPMLやPolylangによる多言語対応もあわせて検討したいところです。館内案内やアクセス方法、キャンセルポリシーまで多言語で整備しておくことで、インバウンドのお客様にも直接予約という選択肢を提供できます。ただし翻訳の質や文化的な配慮まで含めると、単純な機械翻訳だけでは不十分なケースもあり、この部分は運営側の丁寧な準備が欠かせません。特に温泉旅館では、入浴のマナーや浴衣の着方など、日本の宿泊文化ならではの説明が必要になることも多く、多言語対応は単なる翻訳作業以上に、お客様目線での情報設計が求められる作業だといえます。

導入する際の注意点

  • OTAを完全にやめるのではなく、新規集客はOTA、リピーターは自社サイトという役割分担で考えると導入しやすくなります。
  • 一泊二食付きなど複雑なプラン構成をオンライン予約に反映させる場合、標準機能を超えたカスタム開発が必要になることがあります。
  • 決済方法はオンライン決済と当日払いを併用できるようにしておくと、幅広い客層に対応しやすくなります。

この機能、まずは無料でご相談ください

ご紹介した機能は組み合わせ次第で必要な開発範囲や費用が変わります。カスタムプランでは、予約・決済・多言語対応など必要な機能だけを組み合わせてご提案しています。まずはお気軽にお見積りをご相談ください。

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